日々ポケモン父さん

ひょんなことからポケモン世界プレイヤーになってしまった子供とそのオヤジの進化の軌跡

ゲーム(ポケモン)世界大会出場権利後出しから大会のあり方を考える

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(本記事の内容はポケモンの大会を題材にしておりますが、全てのゲーム大会に通ずる内容となっております。またポケモンバトルを知らない人でも理解できる内容となっておりますので、ゲーム大会を愛する方々全てに読んで頂き、考えを深める材料として頂けますと幸いです。)

1.はじめに

ゲーム『ポケットモンスターソード・シールド』の世界大会の権利付与に関して、選手/ファンの間を騒がせるような事態が起きています。

内容は、2021年5月9日に行われた「ポケモンジャパンチャンピオンシップス(以下、PJCS)2021本戦」において大会前には案内されていなかった順位帯に対して大会後の2021年7月2日に、2022年に行われる予定の「ポケモンワールドチャンピオンシップス(以下、WCS)2022」の出場権利を与えるというものでした。

大会後に入賞の枠を拡大させると言う、この問題について考えるためにはまずはポケモンゲーム(以下ポケモンVGC※)の日本公式大会の仕組みについて理解する必要があります。
※VGC=Video Game Championships


2. ポケモンVGC公式大会とWCS出場権利について

日本公式大会ですが、2021年度は以下のステップで構成されています。
年度によっては予選の回数が複数有り、本戦に進むチャンスが何度かある年もあったり、コロナ禍前は本戦+決勝両方ともライブ大会(オフライン)で行っていたり違いはありますが予選があって、本戦があり、本戦及び決勝の結果に応じて世界大会となるWCSへの出場権利を得られると言うのが例年のパターンになります。
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(↑画像は株式会社ポケモン公式HPより引用)

今年度はWCS2021は行わないと言うこともあり、得られる権利はWCS2022出場権利となっております。
そして上記をもう少し細かくした図が以下になります。

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・PJCS2021予選はインターネット経由で行われ、レーティングによるランダムマッチのBO1(1本先取)、最大45戦行い、最終レートの高い順に順位が決定されます。


・PJCS2021本戦もインターネット経由で行われ、レーティングによるランダムマッチのBO1(1本先取)、最大20戦行い、最終レートの高い順に順位が決定されます。
また、各プレイヤー最大10戦行わないとランキング掲載対象外になるというルールがありました。→所謂「仲間大会」形式になります。

 

・PJCS2021決勝は本戦予選と決勝トーナメントに別れます。
予選はBO1(1本先取)によるスイスドロー方式です。
各カテゴリ共に、最大5試合を予定。最大5試合終了後、上位8名が決勝トーナメントに進出。
勝ちは3点、負け・引き分けは0点。同率の場合は独自の計算により順位を決定。
決勝トーナメントはBO3(2本先取/最大3試合)によるシングルエリミネーション(敗退したらそこで終わり)方式です。


3.2021年度におけるWCS出場権利のアナウンス時系列

今回、PJCS2021が開催されるにあたってアナウンス当初はそもそもWCS権利が付与される大会か不明でした。それもその筈、PJCS2021開催アナウンスは、WCS2021中止アナウンス後の話だからです。その後時間が経つにつれてPJCS2021は翌年のWCS2022出場権利が付与される大会であるということがアナウンスされました。

日付 出来事
2021/4/30 【「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2021」公式サイト、公開!】※1
PJCS2021公式サイト公開。そこの内容に上位入賞者にWCS2022出場権利があることが掲載される
2021/4/30 【招待制インターネット大会「PJCS2021本戦」について】※2
決勝のライブ大会には上位20名のみ出場可で有ることが掲載される
2021/5/9 PJCS2021開催
 →つまりこの時点で判明していることは上位20名に対しては何かしらの権利付与の可能性があることのみ
2021/7/2 【「PJCS2021」の上位入賞賞品を公開!】※3
ゲーム部門の上位入賞者に対する案内の中に、決勝大会出場者に対する案内だけでなく、
過去である5/9に開催されたPJCS2021本戦の50位以内(21位~50位)に対してもWCS出場権利を与える旨の記事が掲載

※1 HP内容削除済み
※2 ↓www.pokemon.co.jp

※3 ↓

www.pokemon.co.jp

 

この【終わった大会の結果に対して上位入賞者に対する権利を後付すると言う行為】にどの様な問題が潜んでいるかを考えました。

 

※尚、ポケモン公式は来年度の大会権利を既に一部のユーザーに与えておりますが、ここは推測になりますが、来年度は来年度でPJCS2022/WCS2022の権利を与える大会は有ると思います。(WCS2022は今までの3日開催→4日開催となっており枠が広がっております)なのでこれから大会出場を目指そうとしている人も必要以上に悲観しなくていいと思います。

 

4.大会上位に付与される権利アナウンス内容が
大会に及ぼす影響について

まず5/9に行われたPJCS2021本戦の大会形式についておさらいします。

(1)インターネット経由で行われる
(2)レーティングによるランダムマッチのBO1(1本先取)
(3)「最低10戦/最大20戦」行い、最終レートの高い順に順位が決定


ここで問題になるポイントは(3)です。
この大会での目標は必ずしも1位では有りません。20位以内になる事が最優先です。
これが「最終戦、勝てば1位、負ければ20位未満、放置すれば20位以内」という状況なら、殆どの人が「放置」を選択すると思います。
実際に20位前後に同じ様なレートのユーザが集中している筈です。1位と20位のレート差はそれほどなく、21位過ぎてからのレートはばらつきがあるはずです。

公式のランキングは公開されておりませんのでいつも私もお世話になっているリバティノートさんの記事からの拝借になります。
(何故あの大会だけHOMEに出てこないのだろうか…不思議)

liberty-note.com

これによると1位の方は圧倒的ですが、3位と20位のレート差は19とほぼお団子状態でマッチ次第では1試合でひっくり返る数字です(ポケモンのレートは対戦相手とレートが同じなら16変動し、レート差25ごとに1増減します)
つまり、ほとんどの方が20位以内が目標で有ることがわかります。
そして21位以下は決勝に行く権利は無いので後は限界までやってどの順位まで行けるか試す方や途中で撤退して別のことに時間を使った方もいらっしゃると思われます。

 

…というのが5/9時点での話です。

 

そこに対し7/2に状況が変わります。20位の壁だけかと思っていたらいきなり50位の壁の存在を後で知らされた訳で人によってはたまらない話かと思います。

 

たまらないパターンは以下:
①51位以下でかつ残り試合回数では20位以内には入れないので止めた人
 (ただし勝てば50位以内ならば入る見込みがあった人)
②現在50位以内ではあるが残り試合回数では20位以内には入れないが最後までやり、負けて51位以下になった人

 

つまり、PJCS2021本戦は後になって蓋を開けてみたら、この様な大会だったわけです。

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私は5/9までに上記の内容で事前告知があれば、当日①や②の方はいなかったと思っています。
思うところがある方は是非ポケモン運営にご意見すると良いと思います。少しでも多くの声を届ける事が我々のできる精一杯です。

support.pokemon.jp

電話の場合は↓に番号記載されています。
(新型コロナ対応の影響で受付時間が変わっている可能性ありますのでご確認の上お願いします)

https://www.pokemon-support.com/general/s/inquiry

 

とは言えどもではありますが…あまり今の状況に失望するのではなく、前向きに考えます。
さて、どの様な形式であれば問題が無くなるのでしょうか。

 

5.ポケモンVGC全国大会のあり方について

結論から申し上げるとポケモン最強を決める大会形式として一番適切なのは「本戦予選BO3スイスドロー/決勝BO3トーナメント」であると思います。

つまりWCSの形式は何だかんだで理想的な形では無いかと思っています。


ただ、ネット予選は流石に3万人を超える参加者をBO3スイスドローするのは運営的にもプレイヤー的にも現実的では無いので、今のインターネット予選のやり方が最適解なのかなと感じております。
(昔は自分もネット予選のやり方もオフラインとか別の方法が…と思っておりましたが他ゲーム(例えばポケカ)の状況を鑑みると全員にチャンスのあるこの形式も決して悪いものでは無いのかと感じております。)


…少し話を脱線させます。
例えば入試の場合、皆さん何点を目指すでしょうか?当然全教科満点だと思います。
口では8割取れれば御の字とか最低でも7割目指すとかあるでしょうが初めから8割を目指す人はいません。10割満点目指した結果、8割や7割で終わったりするのだと思います。つまり入試の場合、目指すポイントは受験者全員同じということになります。
その中で成績上位〇〇名が合格、それ以下は不合格、とふるいがかけられます。
ちなみに仮に試験後に定員数が変わったとしても満点目指すというのは変わりません。
定員増えるのならレベル下がるの嫌だなとか、定員減らされるの分かっているなら他のところ受けたわ…とか細かい事はあるかもしれませんが、自分がその試験で得る点数に変化は無いと思います。


話をポケモンに戻します。
ポケモンの大会においてもスイスドローであればBO1であってもBO3であっても目指すところは全勝、になります。受験の話と同じで負けてもいいやと口では言っても負けるつもりで参加する人はいないと思います。
従って後付権利基準が変わったとしても戦略に変更は無いし、結果に変化は無いと思われます。(細かい事を言うと、最終戦消化試合になるのわかっていたらここまで緊張しなかったのに…とかはあると思いますが)

ただし、今回の様な「最低10戦/最大20戦」行い、最終レートの高い順に順位が決定となる大会においては権利の壁が見えているか見えていないかで取るべき行動(対戦するか、しないか)が変わってきます。→つまり、その大会で得る成績が与えられた条件により変動します。

 

従って、大会形式がスイスドローであれば後付権利付与があったとしても後付そのものに思う人はいたとしても当日の行動に対して「たられば」は無かったと思われます。
BO3が良いと思う理由は運負け要素が若干緩和されるからです。
ポケモンVGC、切っても切り離せない「運負け」。BO1だと勝ち逃げされることもありますがBO3なら、本当に運では無い、実力で勝っているから巻き返すことが出来ます。セカンドチャンスがあります。
BO3に関しては以下のブログ内容が本当に為になりましたので是非拝読下さい。

 

「これは筆者の主義なのですが、大会とは最強を決める場所です。」

 

私はここに対して本当に同意します。残念ながら仲間大会でこれを決めるにはあまりにも土台が脆弱過ぎます。

 

6.最後に

結論としては「我々ユーザーは公式の敷いた大会のフォーマットやルールに従い対戦を行って行く」しか無いです。

 

権利後出しについても今に始まったことでは無い(実際に去年も同じ様な事をやっている)、仲間大会でもやってくれるだけでも感謝、今までの公式の実績考えたらTOP50に何かしら権利用意してくる事も想定出来る、と言った考えがある事も把握しております。勿論このコロナ禍の中で色々我々が見えない苦労も運営側にはあるのかも知れません。

 

ただ私としては大会の目的とそれに沿ったフォーマットを用意し対戦する事が結果的には運営と参加者、そして大会を楽しみにしているその他ユーザーがWin-Win-Winの関係になると思っております。

後やはり基本的に伝える事は事前である方が望ましいです。これはゲーム大会の権利付与に限った話ではありません。

 

ポケモンVGCの大会を愛する者として、そしてゲーム大会の発展を願う者として、今後こうなって欲しいと期待しつつもこの記事を読んで下さった皆様ともこんな考えもあるんだと言うことを共有出来たなら幸いです。

 

もう一つ最後に。

ポケモンの対戦も公式大会も本当に楽しいものです。

マスターの方も勿論そうなのですが、特にジュニア/シニアの子達にはできる限りこの雰囲気を味わって頂きたいです。 世界大会となると時間や金銭、その他諸々の都合で難しい方もいらっしゃるとは思いますが、全国大会であれば何とかなると思っています。是非全国にいる同じ志を持った子供達と交流や対戦を通じてかけがえの無い思い出を沢山作って欲しいと思っています。ここにはそれができる環境があります。それだけに大会及び大会に至る環境の整備には人一倍思うものがあるのかもしれません。実際私が見てきたPJCS2017から2018にかけては人数の増加やサブイベントの充実等よりお祭り感が増して良くなっているのを肌で実感しました。今はコロナ渦で厳しいかもしれませんがこの先更に発展していくことを一人のポケモン大会ファンとして心待ちにしています。

 

長文ではありましたがご拝読ありがとうございました。